
(株式投資アナリティクス編集部)
長期的に見ると、SUMCOは株価高騰が約束されています。SUMCOは半導体の世界トップシェアを誇る巨大企業。半導体は通信機器の根幹を支えていますから、IT事業が活発な今、その需要もさらに高まると予想されます。また現存する通信機器のみならず、eスポーツ拡大を目指すゲーム業界や次世代通信規格5Gへの参入など、将来の展望についても期待を持てるでしょう。
企業・ビジネスの特徴
IT事業拡大が騒がれる昨今、その根幹を担うシリコンウェーハ産業にも注目が集まっています。そしてSUMCOは、シリコンウェーハの世界シェア30%弱を占める超有望株。今後さらなる発展が予想されます。そのSUMCOは企業理念として4つのビジョンを掲げています。それぞれ紐解いていきましょう。
技術で世界一の会社
世界シェアを支えていることからも、日本国内に限らず、海外展開にも旺盛な様子が見て取れます。実際、2019年度の社員割合は国内5869人に対して海外2273人と、海外割合が大きい様子。世界中に社内ネットワークを築き、つねに最先端を走ろうとする気概が見て取れます。それゆえに今後も株式市場への影響力を持ち続けるでしょう。
景気下降局面でも赤字にならない会社
これについては社外取締役の三冨正博氏がコメントを残しています。”「強みと機会がない分野からは退くとともに、強みと機会がある分野にさらに踏み込んでいくべき」”。損失が見込まれる事業は容赦なく切り捨て、その資金を無駄なく得意事業へ充てる心づもりのようです。失敗を認め、より一層の向上を求める。株価が一時低迷したとしても、すぐさま回復に転じるであろう心強いコメントです。
社員が生き生きとした利益マインドの高い会社
三冨正博氏はこうもコメントしていました。”「人財を組織の階層の中で重層的に作っていくことが大切」”。海外展開を考えると、多種多様な人材を確保し、あらゆる方面から知識や技術を取り入れなければなりません。そのためには社員の居心地よい空間づくりは必須となります。実際、SUMCOは保育所や相談窓口を設けるなど、労働環境を良くすべく努力していますし、”SUMCO行動憲章”と称して社員教育を施し、企業理念の統一も図っているようです。これにより社内分裂といったリスクを避けられ、不祥事の事態収拾はもちろん、新規事業の拡大にも対応しやすくなります。株価安定に一役買ってくれるでしょう。
海外市場に強い会社
1つ目の理論に通ずるものがありますが、より積極的に企業発展を進める意味合いだと捉えられます。実際、台湾に子会社を構えるなど、海外進出にも精力的です。また事業のみならず、現地の環境保護団体と合同で清掃活動を行うなど、多国籍コミュニケーションにも力を入れています。これにより多様な人脈を築くことができ、シリコンウェーハ産業を超える企業提携を望めます。これが株価に影響をもたらすかは未知数ですが、国内のみでは果たせない大躍進へつながる可能性はあります。
直近の主要な動向
株式市場における「半導体」は人気テーマです。2020年10月の世界半導体出荷金額は、前年比5.1%増と好調そのもの。今後もIT業界拡大に伴い、過去最大の半導体ブームが到来すると予想されます。その意味では、半導体産業へ影響力を持つSUMCOもまた、今後とも株価の安定・上昇を見込める優良企業だといえます。ただし懸念点もいくつかあるため、短期的な株取引を考える場合には注意が必要でしょう。
懸念点のひとつには、台湾子会社の業績不振が挙げられます。2020年、SUMCOは「1~3月期の連結純利益が前年同期比58%減の55億円になりそう」だと発表しました。そしてその原因は、台湾子会社でのシリコンウェーハの売り上げ落ち込みにありました。ただし主力商品の300mmウェーハについては、台湾でもまだまだ需要が見込める模様。販売商品を絞ることで需要を満たし、業績改善を図っています。
もう一つ懸念点を挙げるならば、やはりコロナ禍の影響が心配です。実際、”「長引くと半導体市況に影響をもたらす。いかに早期で収束するかにつきる」”とSUMCOは声明しており、社内でも感染症対策を進めています。ただし株価に限って言えば、新型コロナウイルスはさほど悪影響を及ぼしていません。むしろリモートワーク導入に伴い、IT機器の需要は拡大していますから、その基盤となるシリコンウェーハ需要、延いてはSUMCOへの期待も高まるでしょう。
今後の株価推移予想・投資判断
長期的に見ればSUMCOの株は「買い」安定です。次世代通信規格「5G」導入やテレワーク普及に伴い、シリコンウェーハ需要はさらに拡大していきますから、主力商品へ尽力するスタンスを崩さなければ、堅実に株価を上げてくれるでしょう。また直近では、2020年12月に株価15連騰という偉業を果たしています。しかも11月から12月にかけて、株価が下落した日は2日間のみ。SUMCOへの期待感が高まっていることが見て取れます。
ただし短期・中期的に見るならば少し注意が必要です。SUMCOの2020年12月期3Qは、25.7%営業減益に終わりました。台風による製品製造の遅れが原因とのことでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、消費者需要が落ち込んだことも追い打ちとなったのでしょう。主力商品の300mmウェーハ需要はなお拡大を続けていますが、消費者向け商品が伸び悩むことで、株価が急激に変動する恐れがあります。
投資する上で想定される当社の事業リスク
新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞が懸念されますが、半導体市場はむしろ好調を維持しています。SEMIの調べによると、米国や中国を中心に、通信装置の販売額は昨年比で約4%増が約束されるとのこと。ただし消費者需要は落ち込んでおり、小口径シリコンウェーハの売上は減少傾向にあります。この需要はまだ回復が見込めないため、資本効率が悪化の一途をたどり、主力商品にも影響が及ぶ恐れもあります。
可能性は薄いのですが、紛争鉱物の問題に巻き込まれる恐れもあります。スズ、タンタル、タングステン、金鉱石。これら4鉱物を事業へ用いる場合、産地調査や施設検査の義務が生じます。そして調査結果によっては業務規制がかかるのです。幸いSUMCOは、”「これら鉱物はいずれも製造に必須ではない」”と答えていますが、今後IT事業が拡大すれば、より優れたシリコンウェーハの開発を求められるかもしれません。その場合、紛争鉱物を用いることも考慮せねばならず、株価に影響が及ぶでしょう。
まとめ
IT事業拡大に伴い、「半導体」への期待も高まっています。それゆえに半導体シリコンウェーハのトップシェアを誇るSUMCOも注目され、今後とも株価を上げることが予想されます。
ただしコロナ禍の影響を受け、消費者需要は落ち込む一方です。長期的に見れば「買い」安定でしょうが、短期・中期的には株価が大きく変動する恐れがあるので、動向には注意しましょう。