
(株式投資アナリティクス・編)
任天堂は、ゲーム機器メーカーを牽引し続ける大手メーカーとして知られています。また、巣ごもり生活が始まったころ、「Nintendo Switch」に関連するさまざまな製品の需要が伸びた、といったニュースもありました。
今後、任天堂の株価はどうなっていくと予想されるでしょうか?任天堂グループの概要・事業のほか、直近の決算やニュースなどと併せて紹介します。
企業・ビジネスの特徴
本社を京都府に置く「任天堂株式会社」は、明治22年9月に創業(昭和22年11月に設立)されました。現在、古川俊太郎氏が代表取締役社長を務め、資本金は約100億円の規模を有する家庭用レジャー機器の大手メーカーです。関連会社5社に加え、子会社27社を含めて事業を展開する任天堂グループは、主にゲーム専用機を製造していることで知られています。創業当初より扱っていたカードゲームなどに分類されるゲーム機器製品のほか、現在では、CPをツールとする携帯ゲームなどの機器製品で、その市場を展開しています。そして、任天堂グループは、ゲーム機器製品に必要なハードウェアやソフトウェアを自社で開発・製造し、国内外で販売しています。
任天堂は、各国のゲーム機器ユーザーへ、今まで経験したことのないような楽しさや面白さのある娯楽を提供すること、を経営方針にあげています。一方、ホームエンターテインメントの分野で取り扱う商品やサービスは、娯楽を目的としています。そのことから、同じ企業同士の競争の激化や開発を含め、柔軟な対応ができるよう、経営指標についてはとくに規定していません。実際、任天堂を取り巻くホームエンターテインメントの市場環境では、インターネットやソーシャルメディアが多くの人の生活に浸透し、スマートデバイスの普及によって、ゲームをする人が増加傾向にあります。任天堂は、あらゆる年齢層の人が楽しめる商品やサービスを、今後提案・開発し続けていくことを目指しています。
また、このような環境下で、任天堂は、ハード・ソフトウェアを一体型にした商品の開発を推し進めています。そして、「任天堂IP」(ゲームのキャラクターなど)を大いに活用して、エンターテインメントとして、さらに幅広く顧客に任天堂の商品やサービスを提供することを目指しています。任天堂IPに触れることでゲームの入り口へと招待し、なお手にして遊べば圧倒的に面白いといったように、任天堂には、独創的な商品やサービスの企画・開発について、視野を広げて取り組んでいます。一方、任天堂IPをビジネスツールとして活用することも推し進められています。提案し続けているアミューズメント分野について、さらなる規模の拡大を目指しながら、ビジネスの場でも市場を広めつつあります。たとえば、ビジネスツールとして、ニンテンドーアカウントを活用することを推進し、顧客とのつながり構築していくことも目指しています。
直近の主要な動向
任天堂は2020年11月に、2021年3月期第2四半期の決算発表を行いました。決算に関する各種資料によると、2020年4月1日~9月30日までの業績について、売上高は約7695億円(前年同期に比べると73.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は約2131億円(前年同期比243.6%増)で増収増益となっています。また、3期純利益の予想は3000億円(前回発表予想値の2000億円から1000億円増)となって、これは過去最高(2009年3月期の2790億円)を上回る予想です。
任天堂の業績が上がっている要因の一つに、「あつまれ どうぶつの森」などのソフトを中心に販売を伸ばしている「Nintendo Switch」があるようです。ソフトについては、「あつまれ どうぶつの森」のほかに、「スーパーマリオメーカー 2」(2019年発売後、販売数500万本を突破)や「ルイージマンション3」、「ポケットモンスター ソード・シールド」(11月発売後すでに1600万本を超える販売本数を記録)など、多数のミリオンヒットが生まれ、販売本数の総計については、1億2313万本(前年同期比30.1%増)となっています。また、ハードウェアについては、携帯に特化している「Nintendo Switch Lite」が登場し、その販売台数は1774万台(前年同期比22.5%増)を記録、その後も増加傾向にあります。
今後の株価推移予想・投資判断
新型コロナウイルスの影響で、家庭用ゲーム機器「Nintendo Switch」と併せて、ソフトの販売が伸びたと言われています。実際に、巣ごもり生活を余儀なくされ、家庭用ゲーム機の需要と消費の拡大につながりました。そして、「Nintendo Switch」の販売台数が増えたことで、過去に発表されたソフトについて、再度注目される機会もできています。さらなる業績アップが予想され、中長期的に株価の上昇が見込まれています。
また、任天堂は2021年3月期の配当予想について修正し、前期比および前回予想比で今後増配する、といった予想を2020年11月に発表しています。つまり、予想される任天堂の配当利回りは、5期連続増配(1.45%⇒2.17%にアップ)を達成すると見込まれています。増配傾向にある任天堂への株投資は妥当ではないでしょうか。
投資する上で想定される当社の事業リスク
任天堂グループの製品について、海外での売上割合は7割を超えています。そして、各国で製品を販売する際の取引のほとんどが、現地通貨での取引となっています。また、任天堂グループは、多額の外貨建資産を保有していることからも、為替レートの変動で良くも悪くも影響を受けてしまうことが想定できます。つまり、為替レートの大幅な変動によって、任天堂グループの財政状態、経営成績など、多方面に悪影響を与えてしまう可能性もあるでしょう。
また、ゲーム機器に対する消費者のニーズが変わることも予想され、新しい製品がたくさんの人に必ずしも受け入れられるといった保証はないです。ハードウェアやソフトウェアのアプリケーション開発には、長い期間、多額の費用を必要とすることや、ニーズに合った技術を用意できないことがあれば、市場を確保するのが難しくなることも想定されるでしょう。
まとめ
新しい製品やサービスが求められるアミューズメント企業にとって、事業上のリスクは避けられません。
それを想定した上で、配当利回りの高さにこだわらず、株価が増加傾向にある「任天堂」への投資を続けることは、一つの理にかなった選択肢になるでしょう。今後、生活環境などの変化などに注意しながら、投資の検討をしてください。