
(株式投資アナリティクス編集部)
エムスリーは、数ある企業の中でも大きな注目を集めており、優良株として挙げられることも多い企業です。しかしながら医療分野の企業のため、「一体どんな企業?!」と感じる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、企業の概要や直近の動向、株価の推移予測などについて触れていきます。投資する企業を検討している人は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
企業・ビジネスの特徴
エムスリーは、2000年9月に創業したばかりで比較的新しいですが、2000年以降に創業した会社の中で唯一日経225銘柄にも選ばれており、日本経済の中心で活躍する企業です。2020年3月末時点における資本金は289億25百万円で、従業員数は473名、そして7,127名もの連結従業員を抱えています。連結子会社は、アイチケット株式会社やメビックス株式会社など28もの数があります。さらに、海外にも連結子会社を数多く置いており、海外での活動にも力を注いでいます。2004年9月に東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たし、2007年3月になると上場市場を東京証券取引所市場第一部へ変更しました。
この企業で最も注目すべき点は、インターネットを利用した多種多様な医療関連サービスの提供を行っている点です。医療業界全体にITの技術を取り込み、様々な変革をつくり出しています。GDPの10パーセントの市場規模を占めている医療業界に身を置いており、さらにコロナの影響も重なることで、経済界の中でも大きな注目を集めています。
エムスリーの事業には五つのセグメントがあります。まず一つ目は、「m3.com」が核となるプラットフォームを活用した、様々なサービスを展開しているメディカルプラットフォームです。「m3.com」は、日本最大級の医療従事者専用サイトで、単に医療に関する情報を発信しているだけでなく、キャリアや暮らしなど、医療従事者にとって役立つ多種多様な情報が網羅されているとあって、多くの医療従事者から評価を受けています。二つ目のセグメントは、エビデンスソリューションです。治験支援サービスである「治験君」を中心としながら、大規模臨床研究支援や治験業務全般の管理、運営を支援するサービスを提供してます。
三つ目には、キャリアソリューションが挙げられます。医療だけでなく、それに関わる医師や薬剤師のキャリアを応援するサービスとして、求人や求職のサポートを行っています。さらに、四つ目には医療機関の運営を様々な分野でサポートするサイトソリューションがあります。持分法適用関連会社であるLINEヘルスケア株式会社ではオンライン医療事業を目的としたサービスを進めるなど、一歩先の時代を見越した事業にも精力的に取り組んでいます。さらに、五つ目のセグメントは海外です。アメリカでは医療従事者向けのウェブサイトを運営し、それを核としながら製薬会社や治験などを支援するサービスを展開しています。ヨーロッパや中国、インドでも様々な事業を進めており、グローバルな調査サービスなども可能になっています。
直近の主要な動向
2021年3月期、第2四半期決算において、売上収益は75,022百万円で、前年度と比べると21.9%増となっています。営業利益においては、44.6%増である23,931百円が計上されています。
次に、それぞれのセグメント別に見ていきましょう。メディカルプラットフォームの売上収益は、コロナの影響で製薬会社の需要が伸びたことが主な要因となり、30,915百万円(38.8%増)、利益は13,748百万円(85.7%増)となっています。サイトソリューションは提携医療機関が増えたことにより、売上収益が7,976百万円(41.6%増)、利益は829百万円(132.1%増)と好調です。海外のセグメントでも、コロナの感染拡大に伴いオンラインサービスに対する需要が増え、18,314百万円(31.0%増)、利益は5,083百万円(90.6%増)となっています。一方で、エビデンスソリューションやキャリアソリューション、そして、その他のエマージング事業郡においてはマイナスとなっています。コロナの影響により治験プロジェクトが一時的に停止したことや、転職控えが増えたことなどが、主な要因となっているようです。
エムスリーは、サービス提供地域の拡大や強化にも大きな力を注いでいる企業です。2020年12月にはフランスの Vidal Groupを、そして2021年1月には大阪にある老舗の専門商社、東和産業株式会社を子会社化するなど、事業の拡大を精力的に行っています。
今後の株価推移予想・投資判断
エムスリーの業績は右肩上がりに成長しています。同時に株価も右肩上がりになっており、その成長具合には目を見張るものがあります。エムスリーのセグメントの内、メディカルプラットフォームと海外の売り上げは、売上全体の中でも大きな割合を占めています。コロナの感染拡大という世界的な事情も重なってこの分野は急成長し、売上や利益は前年度から大幅アップとなり、好調さが伺えます。今後も2020年ほどではないものの、上昇傾向が見込めるでしょう。
エムスリーの提供しているプラットフォームは日本で9割もの医師が利用しており、国内での基盤もしっかりできています。それに加えて、海外への事業展開も積極的に行っており、今後ますますの発展が見込めるでしょう。エムスリーの財務状況は至って健全なため、安心して買える株と言えるのではないでしょうか。まさに、投資を行うにはとても魅力的な企業です。
投資する上で想定される当社の事業リスク
エムスリーに投資をする際に考えておかなければならないのが、事業リスクです。機密情報を多く扱っている企業でもあるため、プライバシーポリシーを制定して慎重な運営を行ってはいますが、万が一、個人情報の流出などのような重大なトラブルが生じた場合には、株価にも大きな影響を及ぼしてしまうことが想定されます。また、インターネットを利用したシステムの構築を行い、サービスを提供しているため、システムが何らかの要因によって被害を受けた場合のリスクも考えられます。
システムやインターネット回線のトラブルや人的ミス、コンピュータウイルスの他、自然災害や停電など様々なものが考えられます。それらによって事業に大きな被害が及んだ場合、株価への影響も懸念されます。そのため、設備投資や保守管理についても注目しておきたいところです。
まとめ
エムスリーは、最新テクノロジーを活かした医療に重点を置いており、医療業界を引っ張っていく企業のひとつです。
2017年には、アメリカのフォーブス誌が発表している「世界で最も革新的な成長企業ランキング」の世界5位に選ばれました。日本の企業の中では1位です。日本だけでなく、世界的に見ても注目を集めていると言えるでしょう。