
(株式投資アナリティクス編集部)
現在、株の購入を検討しているという方もいるのではないでしょうか。しかし、大損するかもしれないと考えてしまい、株の購入に躊躇してしまう人も中にはいる事でしょう。
そこで今回は、化粧品やシャンプーなどをの販売で知られている花王の株について、今後予想される株価の推移や投資判断について花王の会社概要や特徴を紹介しながら解説します。株の購入を考えている方は参考にしてみて下さい。
企業・ビジネスの特徴
東京都中央区に本店がある花王は、創業が1887年、設立が1940年と長い歴史がある企業と言えます。1985年には事業分野の拡大に伴い会社名が花王石鹸から現在の花王に変更されています。全国各地に事業所や工場があり、東京や神奈川などには研究所も設けられている他、中国など世界各国に拠点を設けて世界規模で事業を展開しています。消費者との積極的な交流や消費者目線に立った商品開発を行うといった行動原則を掲げており、消費者というキーワードを強く意識している点が花王の一つの特徴と言えるでしょう。
花王はまた持続的社会に必要不可欠な企業になるべく、社会貢献に積極的に取り組む姿勢を明確にして活動しています。体制と運用という視点でコーポレート・ガバナンスの強化も進めており、社会の変化に柔軟に対応しつつ、効率的で高い透明性を確保した経営に取り組んでいると言えます。組織や内部における統制のシステムも整備して運用する事で顧客のニーズに応えられるような施策を行い、分かりやすく説明していく事を基本的な考え方として多様な事業を展開しています。さらに商品開発ではそれぞれの地域の文化などを理解し、その地域のニーズが必要としている商品やブランドの提供をしている企業でもあります。
花王では法の厳守や倫理に基づいた行動を基本としており、誠実かつ幅広い人たちから支持される事を目標として企業活動をしていると言えるでしょう。花王では複数の事業分野に分かれていますが、花王を代表する事業とも言われているのが化粧品事業です。エストやキュレルなどのスキンケア商品やSUQQUなどのメイクアップ商品などそれぞれのブランドの魅力を引き出しながら、顧客によって異なる美容の価値観に対応できる商品の提供が行われています。またスキンケア事業ではエッセンシャルやメリットといったシャンプーなどのヘアケア商品やビオレなどの洗顔料やボディシャンプーなどのスキンケア商品を取り扱っています。
さらにヒューマンヘルスケア事業ではベビー用や大人用のおむつ、生理用品、入浴剤など生活をサポートしてくれる商品を提供しています。他にも花王には環境破壊を軽減する商品を開発する事で社会貢献を目指しているケミカル事業があります。天然の原料を使用して作られた商品や機能性のある材料を用いた商品など多様なケミカル商品を世界各地に展開しています。環境を意識しながら商品の品質や安全性を追求しており、幅広い分野を通じて暮らしの向上に貢献していると言えます。
直近の主要な動向
使用済み紙おむつのリサイクル化に向けた実証実験を開始
花王は使用した紙おむつのリサイクル化実現のために、京都大学と共同で実証実験を始める事を発表しています。企業独自の技術を用いて紙おむつを炭素素材に変える事で、別の用途での再利用を目指すという事です。焼却処理される紙おむつの量を減らして二酸化炭素の排出や焼却にかかる費用を抑える狙いがあると言われています。
人工知能を活かした肌を評価する技術を開発
花王では肌の見た目のイメージを人工知能を用いる事で評価して画像化する技術開発に成功したという事です。化粧がどの程度崩れているかなどを客観的に評価する事が可能となっています。今までは肌の違いを人間の目と同様に評価するのは難しいと言われていたため、今回の技術開発は革新的だという見方もあります。花王ではこの技術を肌に関する調査や化粧品の評価などに活用して、新商品の開発に繋げたいという思惑がると言えます。
新たな経営戦略を打ち出した中で新しい代表取締役社長が就任
2021年1月1日付けで約8年半ぶりに新しい代表取締役社長が就任しています。またその前に発表された中期的な経営計画では社会や環境などの分野においてけん引できるような企業を目指す事も打ち出しています。
今後の株価推移予想・投資判断
アナリストの判断では花王の株価は今後もう少し上昇していくという見方がある事から、積極的に買う又は買った方が良いという意見が大勢を占めていると言えます。また花王は経営が比較的安定している他、株主に対する還元も積極的に行われている企業とも評価されています。これらの背景などを考慮すると長期的に見た場合の投資判断は「買い」になると言えるでしょう。
ただし、花王は近年における米中の貿易問題によって市場の変動による影響を少なからず受けています。そのため、短期的な視点で株を購入したいのであれば米中の貿易問題が落ち着いた状態のタイミングが良いでしょう。それでも総合的に見れば花王の株は安定感があると言え、投資のメイン銘柄としては適していると言えます。
投資する上で想定される当社の事業リスク
花王では気候変動や海洋に投棄されているプラスチックゴミの問題など社会問題における顧客ニーズに対応できず、商品やサービスを適切に提供できない可能性があります。そうなると想定していた売上や市場シェアが得られなくなるというリスクは高くなります。また社会問題に対して積極的に参入していないと見なされた場合、企業自体のブランド力が低下してしまうリスクも潜んでいるという指摘もあります。もうひとつ花王の事業リスクとして挙げられているのが、流通環境の変化に伴うリスクの拡大です。
花王を含めた小売り業界では店舗や商品の差別化がより進んでいる傾向にあります。そのため流通環境の変化に付いていけなくなると、掲げた目標の売上や利益が見込めなくなり、それが株価にも影響を与える可能性もあります。
まとめ
花王の株価について今後予想される推移や投資判断などについて解説してきましたが、最も重要な事は、企業の概要や特徴など企業の分析を十分に行った上で投資をするかどうかの判断をするべきであると言えるでしょう。
花王に関して言えば、有名企業であり、株価も安定していると言えるので、株を購入しても大損になるというリスクは低いと見て良いでしょう。