買ってはいけない高配当株:JTの株価が下落する理由は?どこまで下がるか?

本記事では、高配当株として個人投資家に人気が高いJTについて銘柄分析しています。

JTの株価は長期的な目線で見て右肩下がりの状況が続いています。2015年から2016年頃には5000円に到達する勢いだった株価は、現在は半分ほどになっています。

最近の株式市場では、コロナ下で売り込まれ、割安となった伝統的な大企業を総称する「オールドエコノミー」が大きく買われる地合いにありますが、それでもJTの株価は下落を継続しています。

JTの株価が下がっている理由として大きく3つあります。

株価が下がる理由

全世界的なタバコ離れによる喫煙率の低下、電子タバコでのグローバル競合に対する出遅れによる業績悪化

ESG視点で機関投資家から敬遠されている

配当性向がおよそ80%で減配の懸念

これらの理由を鑑みると、JTの株価が長期的に下落しているのは構造的な要因であり、事態が抜本的に好転しない限りJTの株価が下がり続ける可能性が高いです。

したがって個人的な見解として、JTは7%を超える配当利回りが魅力ですが現時点での買いは控えた方が良いと考えています。

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こちらの分析においては、元銀行員や投資歴10年以上の経験をもとに企業実態把握及びデューデリジェンスの技法を活用しています

以下で詳しく説明していきます。

買ってはいけない高配当株:JTの株価はどこまで下がるか?株価は長期的に下落傾向

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長期的な株価の推移を見ればわかるとおり、JT (日本たばこ産業)の株価は右肩下がりです。

2016年頃には一時5000円に迫っていた株価は、現在では2000円前後の水準に落ちてしまっています。

JTは日本で独占的にタバコの製造と販売をしており、事業基盤は安定しています。また配当利回りは7.5%と非常に魅力的に見えます。

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しかしなぜそのようなJTは長期的に株価が下がり続けているのでしょうか。そして一体どの程度の水準まで株価は下がるのでしょうか?順に解説していきます

買ってはいけない高配当株:JTの株価が下がり続ける3つの理由

長期的に株価が下がり続けているJTですが、私が考える株価下落の理由は大きく3つあります。

株価が下がる理由

全世界的なタバコ離れによる喫煙率の低下、電子タバコ事業でのグローバル競合に対する出遅れによる業績悪化

ESG視点で機関投資家から敬遠されている

配当性向がおよそ80%で減配の懸念

どういうことでしょうか。

買ってはいけない高配当株:JTの株価が下がり続ける理由①:全世界的なタバコ離れによる喫煙率の低下、電子タバコ事業でのグローバル競合に対する出遅れによる業績悪化

業績の悪化について説明するにあたり、この記事を読んでくださっている方にも説明不要かもしれませんがJTの事業の全体観を簡単に解説します。

JTの事業は現在以下で構成されています。

  • 海外たばこ事業
  • 国内たばこ事業
  • 医薬事業
  • 加工食品事業
  • その他

具体的な数値を見ながら各事業の状況を概観します。

【売上収益】

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出典:JT

JTの売り上げ収益は、過去5年間の推移で見ると毎年徐々に減少しています。これは世界的なトレンドとして健康意識の高まりから喫煙率が徐々に低下しているためです。

世界保健機関(WHO)の発表によると、世界の喫煙率は2010年の27.3%から2020年には22.8%まで減少する見通しで、JTにはかなりの逆風ですね。

【国内の年代別喫煙率】

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出典:厚生労働省

また国内の喫煙率も全年齢で大きく低下しています。

売り上げ収益の構成を見ると海外たばこ事業が全社売り上げの約6割を占めています。JTは全世界のタバコ市場でシェア第4位です。

現在は市場シェア第4位を確保していますが、市場構造は電子タバコの登場によって大きく変化しようとしています。

現在、世界でも日本でも紙巻きタバコから電子タバコへのシフト発生していますが、圧倒的なシェアを誇っているのはフィリップモリスのアイコスです。

JTは電子タバコで「プルームテック」と言う商品で巻き返しを図っていますが出遅れ感は否めず、売り上げ収益の減少に寄与しています。

【営業利益】

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出典:JT

売り上げ収益の減少に伴って営業利益も過去5年の水で見ると徐々に減少しています。特に減少の割合が激しいのが国内たばこ事業です。

全体の営業利益が2015年度から2019年度にかけて− 11.1%となっているのに対して、国内のたばこ事業は− 35.2%と激しく下落しています。

感覚的にもわかると思いますが、日本国内でも禁煙、分煙を含めて健康意識の高まりからタバコ離れが進んでおり、JTの事業に如実に影響与えています。

【当期利益】

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出典:JT

JTの当期利益は、売り上げ収益及び営業利益の減少に伴って減少傾向にあります。直近の5年間で冬季純利益は− 12.6%と大きく下落しています。

【ROE】

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出典:JT

当期利益の減少に伴って、JTのROEは年々減少が続いています。2015年度には19.5%とかなりの高水準にあったものの2019年度は13.2%は▲6.3%下落しています。

国内の上場企業のROE平均値は10%前後ですので、下落しているとは言えJTのROE水準は高いといえます。

そもそもJTは国内でタバコの製造販売を許された唯一の業者であり、タバコの独占事業者です。そうした背景もあり高い利益率を維持しています。

【1株当たり配当】

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出典:JT

一方で、1株当たり配当金は年々増加を続けています。株主価値の向上に向け増配を継続しており、株主還元を重視している姿勢が伺えます。

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総じて、主力のたばこ事業が全世界的に凋落の傾向にある中で電子たばこという新市場で苦戦するJTの事業規模は縮小しており厳しい状況です。医薬事業が伸びていますが、まだまだ全社の業績を支える規模には至っていないのが実情です

買ってはいけない高配当株:JTの株価が下がり続ける理由②:ESG視点で機関投資家から敬遠されている

近年、投資家の間でESGを重視する風潮が非常に高まっています。詳しくは以下の記事で解説しているのでよろしければご覧ください。

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たばこは、健康を阻害する要因であることからESGを重視する投資家から避けられている産業です。以下のような海外の年金基金によるJTからの投資撤退宣言が相次いでいます。

  • ノルウェー政府年金基金
  • KLP(ノルウェー)
  • PGGM(オランダ)
  • APG(オランダ)
  • ニュージーランドスーパーファンド

これらは日本で言うところのGPIFと考えて下さい。兆円レベルの非常に大規模なファンドを保有する有力な投資家です。

このようなESGを重視する投資家の撤退は、JTの株主構成を見ると明白です。

以下がJTの有価証券報告書から、株主の構成比を抜粋したものです。

【株主構成比率】

(%)個人
(国内)
法人
(国内)
金融機関
(国内)
海外
2015年1411732
2016年1511731
2017年1611927
2018年2212020
出典;JT

近年の株主構成の推移を見ると海外投資家の株主比率が明らかに低下していることが見て取れます。

JTも株主との積極的なコミニケーションによってESGへの自社の取り組みを説明するよう努力しているようですが、まだ奏功していないようです。

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当たり前ですが、海外の投資家がJTの株を買わないと言う事はそれだけ株価が上昇しにくいということを意味します

買ってはいけない高配当株:JTの株価が下がり続ける理由③:配当性向がおよそ80%で減配の懸念

JTは先述した通り増配を続けてきましたが、一方で事業を縮小していることにより配当の拠出に限界が近づいています。

【配当性向の推移】

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出典:JT

このグラフを見て分かるように2019年の配当性向は78%と言う高水準に到達しています。これはつまり利益のおよそ8割を回答として還元しているということです。

配当性向は当期利益に対する配当の割合を示していますが、一般的には、30%から50%が目安とされておりJTはすでに配当性向が高いことが伺えます。

また100%を超える配当は現実的にはありえず、当期利益が現在のトレンドで縮小するといずれ減配となる可能性が高いです。

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減配となると、株価の下落は免れません。現場すでに高い配当性向にもかかわらず減配しないのはJTの形相が株価の下落を恐れてのことだと推測されます

買ってはいけない高配当株:JTの株価は下がり続ける可能性が大きく買いは控えた方が無難

先述したJTの株価が下がり続ける理由は避けがたい構造的な要因です。今後もそのトレンドは継続する可能性が高く、いかに高い利回りを誇ると言えども現時点においてJT株は購入しない方がよいです。

医薬・加工食品といったたばこ事業以外の大幅な成長や、抜本的なコスト改革による収益性向上を実現しない限り株価は反転しない可能性が高いです。

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もしそれでも買いを検討したい人は、ドルコスト平均法を活用した時間的分散投資を活用した方が良いです。過去に書いた記事ですが以下リンク先で解説しています

【関連記事】
JT株は配当利回りが高い大型株!配当内容や時期も解説

最近の株式市場の流れとしては、コロナウイルスの影響下で売られた伝統的な企業=オールドエコノミーが世界的に買い戻される潮流にあります。

しかしながら、そのような情勢下でもJTの株価は横這いで推移しています。如何に投資家から敬遠されているか、ということが分かる動きです。

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配当利回りが7.5%を超える安定企業なので、つい購入を検討したくなりますが中長期的に株価が下落していく蓋然性は高いです。いくら配当金がもらえても 最終的なEXITに困る企業に投資すべきではありません。他の高配当株に投資すべきです

買ってはいけない高配当株:JTの株価はどうすれば下落のループから脱し上昇するのか?

JT の株価が下落している最も大きな理由は、 ESG投資を重視し始めている海外投資家を中心に株式市場で敬遠されているからです。

その要因は JT の中核事業であるタバコ事業であり、この事業構造を抜本的に変えることが、 JT の株価が下げ止まるためには必要です。

独占業者であるJTがタバコ事業を止めることは在り得ませんので、他事業の育成による事業構造の転換が、株価下落に歯止めをかける方策になりえます。

実際に、JT はたばこ事業の他にも薬事業や加工食品事業を展開していますが、 どちらも現在のたばこ事業には営業利益ベースで事業規模が遠く及ばない状況です。

【JTのたばこ以外の事業】

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出典:JT

率直な感覚として、JTのように独占事業を歴史的に展開してきた企業が、新たな事業を爆発的に成長させるのに長けているとは到底思えません。

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詳しい内情はちょっと調べきれていませんが、事業の構造改革を図るためには経営陣による強力な改革の断行と、そもそも改革を推し進める外部からの経営人材が必要になるでしょう

JTのような高配当株がお好みの人へ:【無料】永久に保有できる米国株の超優良な高配当株6銘柄

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【関連記事】
OXFORD CLUB JAPAN「永久に持っておきたい6つの高配当米国株」を徹底分析【評判・口コミ】

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まとめ:今はJTは買わない方が無難

JTは、全世界的なたばこ市場縮小による業績悪化、ESG投資を重視するトレンド、減配懸念を理由として株価が下落しています。

個人的な見解ですが、配当利回りが高く魅力的に映る一方で「いま買ってはいけない株」です。今後も株価は下がり続ける蓋然性が高く、JT株の購入は見送った方が無難です

いま買ってはいけない株は、JTだけではありません。高配当株で人気の銘柄で買いを控えた方が良い株が存在します。そのような銘柄について分析していますので良ければご覧ください。