みずほ銀行(FG)の株価が上がらない3つの理由【元銀行員が徹底解析】

本記事では、みずほ銀行(正式にはみずほフィナンシャルグループ)の株価が上がらない理由を徹底分析しています。

みずほ銀行(FG)株の購入を検討している、株価が上がらない理由をしりたい、という方に読んで貰えたらと思います。

結論から言ってしまうと、みずほ銀行(FG)は市場=投資家からもはや期待されていないため株価が慢性的に上がらない状況にあります。

その理由は大きく以下3つです。

みずほ銀行(FG)の株価が上がらない理由

・銀行業は「風前の灯」

・新たな競合「フィンテック」の台頭

・みずほ銀行の「競争力の弱さ」

みずほ銀行(FG)は国内有数のメガバンクであり、確固とした事業基盤をもつ素晴らしい企業です。しかし株購入を考えている方は、特に中長期的な視点では、上記を踏まえて慎重に検討した方が良いです。

因みに、短期的には2021年にみずほを始めとしたメガバンクの株価は上昇する可能性があります。コロナワクチン実用化、経済回復期待で売られていた割安株=「オールドエコノミー」が買われるトレンドが存在するためです。

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元銀行員としての視点も踏まえて、通り一遍の情報を踏まえた上で、詳細に分析していきます

みずほ銀行(FG)の株価は上がらないどころか右肩下がり

【みずほ銀行(FG)の株価推移】

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みずほ銀行の株価は直近の5年を切り取って見ると、上がらないどころか右肩下がりの状態です。

PERは8.78倍とかなり割安な水準に達しているにも関わらず、株価が上昇する兆しは見えていません。

みずほ銀行は国内有数のメガバンクであり、誰もが知っている優良企業ですが、株価の観点では優等生とは言えない状況です。

みずほ銀行(FG)の業績は横這いで推移

【みずほ銀行(FG)の業績推移】

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出典:楽天証券

みずほ銀行(FG)の業績は、年度によって凹凸がありますが、概ね横ばいです。

経常収益は3.5兆円から4.0兆円の間で、純利益の実力値は概ね3000億円から5000億円といった水準です。

2019年3月に純利益が落ち込んでいるのは、システム関連の減損を計上したため一過性の要因です。

しかし、こうした「横這い」の業績推移は頭打ち感が見える、というのが本音です。

特に、現在のように金融緩和が実施される状況では、株式市場は過去の業績を検証しつつ、将来の成長性に期待して投資する企業を選びます。

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では将来を見据えた際に、みずほ銀行(FG)に買いの材料が見つかるのでしょうか

みずほ銀行(FG)の株価が上がらない3つの理由

みずほ銀行(FG)は、優良企業でありながら、株価が上がらないどころか長期的に見て株価が右肩下がりになってしまっている銘柄です。

なぜそのような状態に陥ってしまっているのでしょうか?

そもそも論ですが、みずほ銀行を含むメガバンクや地銀は、市場=投資家に期待されていない、というのが現状です。

株の買い手である投資家から成長が期待されておらず、買いが入らないので株価が上がらない構造です。

みずほ銀行(FG)の株価が上がらない理由は以下の3つです。

みずほ銀行(FG)の株価が上がらない理由

・銀行業は「風前の灯」

・新たな競合「フィンテック」の台頭

・みずほ銀行(FG)の「競争力の弱さ」

みずほ銀行の株価が上がらない理由①:銀行業は「風前の灯」

上場対象になっているみずほフィナンシャルグループの中核企業はみずほ銀行で、銀行業の動向に強く影響を受けます。

その中、「銀行業は斜陽産業」と言われて久しいです。

日本の少子高齢化、経済規模の減退によって従来の銀行のビジネスモデルである預金・為替・貸金はスケールが漸減していきます。

海外においても、先進国では競合が強く、新興国では当局の産業保護政策という壁があり、プレゼンスを発揮しきれていません。

そのような状況では、投資家は銀行業の将来の成長性に期待を持てず、積極的に投資しようとは思いません。

その証左として、銀行業のPERおよびPBRは、全業種平均と比較して著しく低い水準にあります。下記は、日本取引所グループ の数値(2020年6月)です。

PER / PBR

【PER】
・全業種:19.6倍
・銀行業:10.1倍

【PBR】
・全業種:1.1倍
・銀行業:0.3倍

PERとPBRの低さは、利益に対する株価の低さを示しています。

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銀行業のPERおよびPBRの低さは、現状の利益水準は高くても投資家から将来の成長性を期待されていないことを端的に表しています

みずほ銀行の株価が上がらない理由②:新たな競合「フィンテック」の台頭

現在においてはもはや古びたワードにも感じられますが「フィンテック」による銀行業への脅威は依然として継続しています。

フィンテックが登場して以来、将来的に「銀行は不要になる」と言われてきました。

それを裏付けるかのように、フィンテックの市場は日本においてもその規模を拡大させています。

【フィンテックの国内市場規模推移】

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出典:矢野経済研究所

2018年度の国内FinTech市場規模は前年度比42.7%増の2,145億円、2022年度には1兆2,102億円にまで拡大すると予測。API連携による協業やブロックチェーンの商用利用、基盤を固めた暗号資産の広がりが市場拡大のカギ

出典:矢野経済研究所

フィンテックは技術の進展とサービス進化に伴い、徐々に日常生活に浸透しています。それに伴って、伝統的な銀行の業務が侵食されています。

キャッシュレス決済サービス、P2Pレンディング、クラウドファンディングなど、枚挙に暇がありません。

フィンテックを取り込もうとする動きがメガバンクにも見られますが、意思決定の遅さ、カルチャーフィットの無さで遅々としている、というのが正直な感想です。

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そうした状況下、伝統的な銀行へ積極的に株式投資するモメンタムは起こりづらいのが実態です

みずほ銀行の株価が上がらない理由③:みずほ銀行(FG)の「競争力の弱さ」

みずほ銀行(FG)は他のメガバンクと比較して「競争力が弱い」と囁かれてしまっています。

「何が弱いの?」と聞かれても明確に答えづらいのですが、一方で「何が強いの?」と聞かれても返答に窮するのがみずほ銀行です。

つまり、明確な強みが見えづらく、故に競争力が他メガに見劣りすると見られています。

グループ横断で提案力を高める為のカンパニー制導入や、デジタル領域における取組は目を見張るものがあります。

しかし三菱UFJや三井住友と比較して飛びぬけている、と言えるほどではありません。結果として、規模で勝るはずの三井住友FGよりも、毎年純利益が低位で推移しています。

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「国内No.1で随一のブランド、海外でのプレゼンスを誇る三菱UFJ」「圧倒的な営業力、コスト効率、スピードを誇る三井住友」と比べるとどうしても見劣りしてしまいます

みずほ銀行(FG)の株価は中長期的には上がらない公算が大きいので買いは控えた方が無難

以上を踏まえ、みずほ銀行(FG)の株を購入するのは、特に中長期的な視点で見た時に、様子を見た方が良いです。

割安感があるPERや配当利回りの高さだけに目を奪われて投資してしまうと、長期間に塩漬けせざるを得ない状況になる公算が高いです。

但し、2021年においてはコロナワクチン実用化、バイデン政権による経済対策で景気回復が期待されており、コロナ下で売られていた割安株が買われる機運が上昇しています。短期的には株価を向上させる可能性があります。

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しかしながら、中長期目線で、私だったら絶対に買わないです

まとめ

みずほ銀行(FG)の株価が上がらない理由について分析しました。

みずほ銀行の株価は、銀行業の将来性を考えると投資家に期待されておらず、中長期的に株価が上がらない構造になっています。

みずほ銀行の株を吟味している人は、注意が必要です。