2021年の株式投資における10の政治リスク!分かりやすく解説【不確実性に備える】 | 株式投資アナリティクス@金融×戦略コンサル

コラム

本記事では、2021年に想定しておくべき政治リスクについて解説しています。

政治に関わるイベントは、その時々の株式市場のトレンドや地合い、マクロ経済の動向などを一切無視して市場の値動きに影響を与える可能性があります。

政治イベントは、現在の経済環境や企業の株価の決定要因の重要な要素である事業環境に非常に大きな影響があるためです。

そのため、株式をはじめとした投資ポートフォリオを検討する上で先々起こりうる政治リスクを把握することが極めて重要です。

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本記事では世界的に有名な政治リスクを専門家である、米国の「ユーラシアグループ」が公表している「世界10大リスク」を引用しながら2021年の政治リスクについて解説します

株式市場にインパクトを与える世界の政治リスクを公表しているユーラシアグループとは?

政治リスクの引用元であるユーラシアグループについて、簡単に説明します。端的に申し上げると、世界中の投資家から注目を集めている政治リスクの権威です。 

ユーラシア・グループは、地政学的リスク分析を専門とするコンサルティング会社のさきがけとして、1998年に発足しました。

以来、ニューヨーク、ワシントン、ロンドン、東京、シンガポール、サンパウロ、サンフランシスコの各オフィスに総勢130名の社員を擁し、新興市場国をはじめ、世界各国・地域の政治的変動が市場に与える影響について、数量的な手法も用いながら分析し、お客様にリスク・マネジメントのアドバイスやコンサルティングを行っております。

出典:ユーラシアグループ

ユーラシアグループの社長は世界的に有名な国際政治学者のイアンブレマー氏です。

イアンブレマー氏は2011年頃に既に、米国を中心とした先進国の影響力の低下と新興国政府の権威増加によって起こる国際政治の権力空白を意味する「Gゼロ」を予言していた国際政治の権威です。

「世界の10大リスク」は有料のレポートですが、一週間も経つと各メディアでその中身が公開されています。

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それだけ注目度が高く、信頼がおけるユーラシアグループの世界の10大リスクについて解説していきます

多くの投資家が勘違いしている「リスク」とは何か?

世界の10大リスクについて解説を進める前に、「リスク」とは何かということについて念のため説明しておきます。

よく投資におけるリスクは「自身が保有している投資ポートフォリオが市場の変動によって損失を被ること、その可能性」と勘違いされています。

しかしながら本来的な投資におけるリスクの意味は、「自身が保有している投資ポートフォリオの損益が変動すること、その可能性や度合い」を差します。

つまり、先行きが不透明で値動きが激しい、ボラティリティが高い状況をリスクが高い状況と言います。

それを踏まえた上で2021年の世界の10大政治リスクについてみていければと思います。

株式市場に影響を与える「2021年の世界の10大政治リスク」はどう予想されているか?

それでは早速、ユーラシアグループが公表している世界10大リスクについて見ていきましょう。

2021年の世界10大政治リスク

①新たな米国大統領の就任
②新型コロナウイルス感染の影響拡大、長期化
③気候変動問題、及び各国・企業の覇権争い
④米国と中国の対立激化
➄グローバルベースでのデータ規制強化
⑥サイバー攻撃の更なる脅威拡大
⑦トルコにおける経済不安
⑧原油安が直撃する中東の情勢
⑨メルケル退任後の欧州情勢
⑩中南米の経済的落ち込み

今回公表されている2021年の政治リスクは、比較的妥当だと思えるものが多いですね。現時点で発生している、或いはリスクと言われる事象が並んでいるイメージです。

主だったものを取り上げて、想定される市場への影響も含めて順に解説していきます。

2021年の政治リスク:新たな米国大統領の就任

昨年に続き今年も第1位のリスクとして列挙されたのが、米国における政治リスクです。

2020年においては、 米国の大統領選挙に関わるリスクをグローバルで見ても最も大きなリスクだと指摘していましたが、2021年は大統領就任後の米国社会の分断、政権運営・外交政策の実効性が懸念されています。

ユーラシアグループの社長であるイアンブレマー氏によると、新大統領として就任するバイデンを以下の様に評しています。

国民のほぼ半数から非合法に選ばれた大統領だと見なされ続ける。ジミー・カーター氏以降で最も弱い大統領として就任する

大統領選の結果を見れば分かる通り、支持を得られていない中で、経済及び雇用情勢は悪く、米国内の統治、一枚岩化に時間が必要となる可能性があります。

懸案であったジョージア州上院選挙で、大統領・上院・下院で民主党が多数を占める「トリプルブルー」を実現したことで、ややリスクは和らいでいます。

しかし米国の社会的分断は依然として存在しており、その改善に労力を割くと、大規模な経済政策や掲げている外交方針なども実現しないリスクがあります。

上記のような兆候が鮮明になってくれば、株式市場をはじめとする各種マーケットも敏感に反応しリスク回避的な行動に動く可能性が高いです。

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株式市場のアノマリーとしては、大統領が就任する年は相場全体が上昇すると言われていますが、米国の政治動向には引き続き注視が必要です

2021年の政治リスク:新型コロナウイルス感染拡大の影響、及び長期化

2020年に未曾有の影響を与えた新型コロナウイルスですが、2021年では既に発現したリスクの増幅や長期化が懸念されています。

非常に身近な問題なので身に染みて理解できると思いますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は、引き続き株式市場をはじめとする各マーケットに甚大なインパクトを与えるリスクがあります。

イアン・ブレマー氏は、新型コロナウイルスがグローバルの経済に引き続き大きなダメージを与え、広範囲にわたる影響は持続するとしています。

そうしたダメージが各国の債務危機やグローバルベースでの金融危機を引き起こすリスクがあると指摘しています。

コロナワクチンは既に実用化されていますが、想定以上に普及に時間がかかったり、普及が進まなかったりすれば、経済回復や企業業績の回復への期待が失望に変わり、世界中の株式市場および各マーケットに悪影響を及ぼします。

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新型コロナウイルスを取り巻く状況についても、デイリーベースでのチェックが必要です

2021年の政治リスク:③④に係る米国と中国の「新冷戦」

気候変動問題と米中貿易摩擦に端を発する両国の対立拡大は、どちらも命中のグローバルベイスにおける覇権争いに関するリスクです。

ユーラシアグループは、気候変動やワクチン、貿易や国家の安全保障を巡り、米中の覇権争いによる対立が一層複雑化し、外交における緊張感が高まると分析しています。

2018年の半ばから年末にかけて、米中貿易摩擦の激化が株式市場および各マーケットに甚大な影響を与えたのは記憶に新しいところです。

2018年12月には、両国の関係悪化を受けて全世界的な経済への悪影響を懸念し、あらゆる国で株式市場が暴落しました。

以下の記事では米中貿易摩擦について詳しく解説しています。 よろしければ是非ご覧下さい。

【関連記事】

【米中貿易摩擦(新冷戦)まとめ】分かりやすく解説。これまでの経緯と今後の株式市場への影響は?

こうした覇権争いのさらなる激化に伴い伴い、米国中国との関係に深刻な亀裂が生まれると予測しています。

その意味で、両国の板挟みになる可能性がある日本は大きな影響を受ける国のひとつです。米国と同盟関係にある日本ですが経済的な影響という意味では中国との関係がこれまで以上に重要になっています。

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日本国内へ株式をはじめとして投資をしている人は多いと思いますが、米中の今後の関係は、常に関心を持つべきトピックです

まとめ:2021年に予見される政治リスクに対してどう備えるか?

2021年に株式投資において把握しておくべき政治リスクについて解説しました。

解説してきた政治リスクは、発現した際には株式市場をはじめとする各種マーケットに甚大な悪影響を及ぼすことが想定されます。

大切なのは、そうしたリスクを念頭に置きつつ、本当にリスクが起こった場合にどのようなアクションを取るのか事前に計画を練っておくことです。

投資ポートフォリオの見直しや、政治リスクが発生した場合の損切りルールなどを事前に決めておくことは、マーケットの変動による大きな損失を防ぐことにつながります。

事前に計画を練っておくことで、政治リスクによって株式市場が大暴落をしても慌てずに冷静に対処することが可能になります。

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今回解説したような政治リスクをしっかりと把握し、まだ見ぬリスクに備え投資の収益に最大化、安定性向上に繋げましょう

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