不正融資問題に揺れるスルガ銀行ですが、第三者委員会による調査結果が明らかになりました。

端的に言うと、やはり組織ぐるみで不正融資は実施されており、それは全行的な収益至上主義によるものだった、という報告です。

この調査結果が明らかになる前の9/3週のスルガ銀行の株価は569円(▲27円)で、下げはしたもののそれほど劇的な動きではなかったように思います。

結果を受けて来週、スルガ銀行の株価がどう動くかは注目です。

また今後、更なるネガティブな材料として新たな経営体制、不正融資の引当、業績への影響懸念、金融庁の行政処分、といった懸念材料のオンパレードです。

元銀行員としての経験も踏まえて分析すると、こうした懸念材料から不確実性が高すぎるため、株を買う局面ではないと思っています。

また倒産するかどうか、といった点についても、いま答えが出せる状況ではないと思っています。

第三者委員会による報告

外部弁護士を中心とする第三者委員会による報告はどのようなものだったのでしょうか。

発表された内容はまとめると以下の2点です。

シェアハウスに加え、投資用アパートローンでの不正も確認

事の発端は、シェアハウスによる不正融資ですが、投資用アパートローンでも不正融資が行われていたようです。

また創業一族の関連会社への融資が数百億円あるという事実も確認され、ガバナンスが全く効いていないことが明るみに出てきました。

不動産投資向け融資で資料改ざんなどの不正が横行し、役員や支店長、多くの行員が関与したことが第三者委員会の調査で明らかになっています。

原因として、全行的な収益/ノルマ至上主義で審査ずさんだったことが原因

スルガ銀行は、こうした融資により高収益を実現し「地銀の星」とまで言われていました。

しかし、高収益の裏で現場に無理なノルマが課され、パワハラや不正が蔓延(まんえん)してしまったようです。

ノルマを達成するために、パワハラが全行で横行

ノルマ至上であったことから、このご時世では考えられないようなパワハラが蔓延っていたようです。

以下は、調査報告によって明らかにされた、営業担当が成績が振るわなかった時に上司から浴びせられたコメントや行動です。

  • 「数字ができないなら、ビルから飛び降りろと言われた」
  • 「上司の机の前に起立し、恫喝(どうかつ)される。机を殴る、蹴る。持って行った稟議(りんぎ)書を破られて投げつけられる」
  • 「ものを投げつけられ、パソコンにパンチされ、オマエの家族皆殺しにしてやると言われた」
  • 「支店長が激高し、ゴミ箱を蹴り上げ、空のカップを投げつけられた」
  • 「死んでも頑張りますに対し、それなら死んでみろと叱責(しっせき)された」
  • 「『なぜできないんだ、案件をとれるまで帰ってくるな』といわれる。首をつかまれ壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴った」

【参照元:livedoorニュース】「オマエの家族皆殺し」スルガ銀、上司による壮絶な恫喝

働き方改革、労働環境の改善が叫ばれるこの時代に、このようなパワハラがまだ残っていたとは信じられませんね…。

融資審査での情報改ざん、営業担当役員によるごり押し

またシェアハウスや投資用アパートローンで、組織ぐるみでの情報改ざんが行われていたようです。

例えば、返済能力を大きく見せるために、融資先の現預金残高を水増しする、賃貸時に得られる賃貸収入を高く見積もる、など。

また200件以上の案件で、そうした怪しい情報に審査部が疑義を呈している痕跡がみつかっています。

しかし審査部からこうした異論が出ても、個人営業担当の役員がごり押しで案件を押し通して承認してしまっていたようです。

まさに収益のためなら何でもする、といった姿勢で、役員から1行員まで不正融資に加担する組織ぐるみの不正と言えますね。

調査報告によれば、こうした体制の構築の原因となったのは前副社長(故人)、全体の経営責任は岡野前会長にあるとしています。

ただ一方で、このような現場の情報が役員以上に報告されることはなかったとされ、経営ガバナンスの脆弱さも露呈しています。

元銀行員としてのスルガ銀行への考察

バブル期のような旧態然とした体制

パワハラが横行していた件については、まるで20~30年以上前の話のようで、2018年現在に起こったこととして信じられない内容ですね。

私が銀行員でお世話になった上司に「バブル期はこんな感じだった」と聞いていた話のようです。

私が知人や友人に話を聞く限りではメガバンクではさすがに無いかもしれませんが、

もし旧態依然として銀行であれば、スルガ銀行のようなことをやっている銀行もあるかも知れませんね…。

こうした文化はすぐに修正がきくものではなく、時間をかけて変えていくものだと思います。

シェアハウス・投資用アパート以外の融資案件でも不正?

こうしたパワハラ的な態度は、何も今回取りざたされているシェアハウス・投資用アパート案件に限ったことではないように思えます。

通常の融資やその他の案件でも、収益へのプレッシャーから不正を働いてしまった、ということはありえますね。

もしそうした事態が今後明らかになった場合は、スルガ銀行の体制や業績への懸念はより大きくなることでしょう。

スルガ銀行の今後に対する見立て:倒産するかどうかはまだこれから

スルガ銀行の顧客の方を含め、多くの方の関心事になっているのは、「スルガ銀行は倒産するのか」といった点でしょう。

それを考えるにあたり今後、一番の焦点は①スルガ銀行の新たな経営体制と、②引当金の積立による損失額、③今後の業績への影響、④金融庁の処分内容です。

特に株価に影響を与えるのは②と③だと思います。

②は今回、不正に融資してしまった信用力が低い案件に対する引当金の積立でどれくらいの金額が損失として積み上がるか、という点に注目です。

③は、今回の不祥事によって顧客離れが置き、スルガ銀行の懸念されます。

倒産するかどうかの見立ては今時点では難しく、これら①~④が徐々に明らかになってきてからでしょう。

短期的な株価の動き:報告は下げ材料、いま買うべきではない

来週、この発表を受けてどのように株価が動くか注目ですね。少なくとも上げる材料ではないと思います。

今回の記事でも以前の記事でも書きましたが、今後業績への影響がどのくらいになるかは不透明であり、不確実性が高くなっています。

株価の下げ材料となりうるものばかりであり、今株を購入するのはおすすめできません。

詳しくはこちらの記事でも書いておりますので、宜しければご覧下さい。

テンバガー候補?:株価急落するスルガ銀行(8358)の株は買いか

またほかのテンバガー候補の分析もしておりますので、あわせてご覧ください。