こちらの記事では、累進配当政策を対外的に公表している銘柄について紹介しています。

最近、ごく一部の上場企業が宣言して話題になっている累進配当政策ですが、気になっている方も多いのではないでしょうか。

現時点で、累進配当政策を取っている企業は、「三井住友フィナンシャルグループ」「三菱商事」「日本エスコン」「いちご」の4社です。

減配がない累進配当政策は、企業にとっては非常に重大なコミットメントである一方で、株主にとっては非常に魅力的です。

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現在は4社のみですが、将来的に累進配当政策を宣言する企業は増加していく可能性が高いです

※投資は自己責任でお願い致します

累進配当政策とは何か

そもそも累進配当政策とはなんでしょうか?聞きなれない方に向けて解説します。

累進配当政策=配当を減らさない資本政策

「累進配当政策」とは、「減配せず、配当水準を維持または増配し続ける」資本政策を指します。

配当は通常、「1株あたり100円」といった形ですが、この「100円」の金額水準を減らさず、維持または累進的に増加させる、ということを意味します。

ただし、どの企業も「特定の中期経営計画期間中」という枕詞付きですので注意が必要です。

つまり、2019-2021年度の中期経営計画を過ぎた場合は、累進配当を継続する保障は無いという意味であり、その期間についてはチェックする必要があります。

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対象の中期経営計画の期間が終了した場合、「累進配当政策やめます」となる可能性があります

累進配当政策は事業と株主への強いコミットメントを示す

累進配当政策は、言い換えると「何があっても配当は減らさず株主に還元し続ける/還元を増加させ続ける」という、経営からのメッセージです。

これは自社事業と株主還元に対する、非常に強い対外的なコミットメントと言えます。

配当金は業績が悪化した場合に減配するのが通例です。減配することで自社の財務状況や留保を一定に保ちます。

しかしながら、累進配当政策を対外的に発表している場合は、減配することができません。

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従って、自社事業を安定的に操業する強い覚悟と、業績が悪化しようがしまいが株主還元を変わらず継続するという強い意志が必要になります

累進配当政策は、購入時の配当利回りが保証され株主にとっては魅力的

一方で、累進配当は、株主にとっては非常に魅力的な政策です。

累進配当政策を取る銘柄に投資した株主にとっては「買った時点の配当利回りが下限として保証される」という意味を持ちます。

どういうことでしょうか。

例えば、累進配当政策を取る企業を株価100円で、1000株購入したとします。配当は1株あたり5円だとすると利回りは5%です。

累進配当政策を取っていれば「1株あたり5円」の部分が5円未満になりません

従って購入した株式を売買せずに保有し続けたとすると、利回り5%を下回ることは無くなります。

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こうした銘柄が株主にとって魅力的であることは、論を待たないですね

累進配当政策を掲げる4銘柄

現在、累進配当政策を打ち出している企業は4社あります。

①三井住友フィナンシャルグループ

出典:三井住友フィナンシャルグループ

三井住友フィンシャルグループは、三井住友銀行、SMBC日興証券、三井住友カードなどを子会社に持つ金融コングロマリットです。

メガバンクグループの一角でもあります。

三井住友フィナンシャルグループは累進配当政策を取っており、資本政策の基本方針の中で明確に謳っています。

出典:三井住友フィナンシャルグループ

過去の配当状況を見ても、減配が無く累進配当を継続しており、今後も配当を維持・増加させていく計画です。

また配当性向は40%を目標にしており、2018年5月には700億円の自己株買いも実施しています。株主還元への積極的な姿勢が伺えます。

業績自体も好調で、直近の2019年3月期においては純利益7,344億円を計上しており、国内でも有数の収益を誇ります。

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柱の銀行事業は、貸出事業によるストック型の安定ビジネスであり、累進配当政策を取ることができるバックボーンとなっています

三井住友フィナンシャルグループについては以下の記事で分析していますので、宜しければご参照下さい。

②三菱商事

2つ目の銘柄は、総合商社トップの一角、三菱商事です。

総合商社として、資源ビジネスを中心に広範囲の事業を展開しています。

三菱商事も、中期経営計画の中で、累進配当を方針として掲げています。ただし、現在コミットしているのは2021年まで、という点は留意が必要です。

『中期経営戦略2018』において、株主還元は配当を基本とし、減配せずに利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を方針として掲げました。

2019年度より開始される『中期経営戦略2021』においても、「累進配当」を継続し、配当性向は現在の30%から将来的に35%程度に引き上げていくことを目指します。

出典:三菱商事「配当情報」

実際に過去の配当状況を見ても、累進配当を維持する可能性は高いです。

出典:三菱商事「配当情報」

2015年度からの推移を見ると、年間の配当金は着実に増加を続けています。減配は一度もされていません。

以下は、三菱商事の業績推移です。

出典:楽天証券

資源、機械、化学などの事業基盤は頑健であり、大幅にコモデティ市況が悪化しない限り、安定した業績で推移することが見込まれます。

また株主還元にも積極的で、2020年5月までに3,000億円の自己株買いを計画しています。この点でも魅力的と言えます。

③日本エスコン

3つめの銘柄は日本エスコンです。前述の2社よりは知名度が低く、ご存じない方も多いと思います。

同社はマンション分譲や商業施設などの開発を手掛ける不動産業者です。

2019年6月期までの中期経営計画を期限として、累進配当政策を公表しています。

さらなる株主様への安定した還元を実現すべく、第2次中期経営計画期間内(2017年度~2019年度)の1株当たり配当額(DPS)は、累進的配当政策を導入し、前年度のDPSを下限として、配当額維持もしくは業績進展により増配のどちらか(原則として「減配しない」)とします。

原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とするこの累進的配当政策の導入により、安定した配当の実現とともに、将来の配当水準の透明性を高め、株主様への還元をより強化し、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

出典:日本エスコン「日本エスコンについて」
出典:楽天証券

業績は増収増益が続いており、累進配当政策も着実に進めています。

日本エスコンは、前中計においても累進配当政策を掲げており、今後も同政策を継続する可能性は高いです。

④いちご

4社目はいちごです。冗談のような企業名ですがれっきとした上場企業です。

J-REIT運用を柱とした不動産サービス業、およびメガソーラー等の再生エネルギー事業を展開しています。

社名は、千利休が説いた茶人の心構えである「一期一会」に由来し、「人との出会いを大切に」という精神を理念としているそうです。

累進配当政策については、以下の通り公表しています。

当社では、株主の皆様に対する利益の還元を経営上の重要な施策の一つとして位置づけております。今後の株主還元の基本方針として、2016年4月19日開催の取締役会において「累進的配当政策」の導入を決議いたしました。

具体的には、各年度の1株あたり配当金(DPS)の下限を前年度1株あたり配当金とし、原則として「減配しない」ことにより、配当の成長を図るとともに、将来の配当水準の透明性を高めます。

出典:いちごWebサイト「株主関連情報」

業績は、増収増益で推移しており、配当も累進配当政策を掲げていることから、毎期増配を続けています。

出典:楽天証券

累進配当政策と「疑似累進配当(連続増配)」の違い

「減配せず、配当水準を維持または増配する」ことに明確にコミットするかどうか、が違いです。

累進配当政策の対外的な公表は、つまり上場企業の「経営層」が「株主」に対して絶対に守ると約束する行為に他なりません。

これは覚悟の面で非常に大きな差異があります。

もし累進配当を約束して、実現できなかったらその企業や経営者は批判に合うことは必至です。株価も下がる可能性が高いです。

そういったリスクがあるにも関わらず、株主にコミットするには揺るぎない自社事業への自信・覚悟と株主還元への意思が必要になります。

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結果的に連続増配となっている企業(花王、NTT、NTTドコモ、キャノン、JTなど)は多数存在しますが、コミット度合いに大きな違いがあります

累進配当政策を取る企業に対しては買いスタンス

ここまで、累進配当政策を取っている企業を紹介し、それ以外の企業との違いを見てきました。

結論として、累進配当政策を掲げる銘柄は、積極的に購入検討をしても良いのではないかと思います。

理由はこれまで述べてきた通り、

  • 持続的な配当継続により安定したインカムゲインが得られる
  • 背景にある安定した事業構造でディフェンシブ株として優れる
  • 積極的な株主還元姿勢を示しており自社株買い等が期待できる
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上記により、株価も比較的安定して推移することが期待できます

累進配当政策銘柄におけるおすすめの株式保有方針

中長期の保有がおすすめです。理由は明快で、累進配当政策を取っている限り、配当利回りが下がらずその分株価下落リスクが低減されるためです。

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ただし、株式を購入するタイミングは熟慮する必要があります

累進配当政策を巡る将来的な予測

今後、累進配当政策を宣言する上場企業の増加が見込まれます。

累進配当政策は国内では2016年頃から導入された制度であり、前述の三井住友フィナンシャルグループや三菱商事が先駆けです。

この10年ほどの株主重視のトレンドを鑑みるに、今後このような株主還元強化の方向へ動く可能性は高いと言えます。

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特に、連続増配実施中の企業は累進配当政策を取る可能性が高く、その場合は株価上昇が期待できます

まとめ:累進配当政策を取る銘柄は魅力的!

累進配当政策について紹介しつつ、資本政策に織り込んでいる企業4社について解説しました。

累進配当政策は極めて株主に寄り添った方針であり、投資先としては魅力的です。将来的に同政策を掲げる企業が増えていく可能性も高いです。

ただし如才なきことながら、企業の経営状況やテクニカル面での分析は併せて実施した上で、投資判断をする必要があります。

ぜひ投資先の候補として検討してみてください。