本記事では、気になる株銘柄の株価が今後どうなるかを予想してきます。今回は大手生命保険会社の一角、第一生命ホールディングス(8750)です。CMも多く実施していて知名度が高いのでご存知の方がほとんどだと思います。

足元の株価においては、配当利回りは3%を超えており、魅力的な水準にあると思います。数年前の同社株価は現状のおよそ1.5倍水準にあり、その水準まで株価が戻る可能性は十分にあると考えています。

一方で、同社を取り巻く事業環境や直近の業績、成長戦略と競合優位性を考えると成長性はそれほど大きくないことが想定され、他の高配当株・割安株を狙った方が良いのでは、とも思います。

こちらの株価見通しの予想におきましては、元銀行員として培った企業デューデリジェンスのスキルを活かして定性的、定量的に分析しています。

※最終的な投資判断は自己判断でお願いします

第一生命ホールディングスの概要

同社は国内および海外で保険関連事業を展開する、総資産規模で日本第三位の保険会社です。総資産規模はかんぽ生命、日本生命に次ぐ規模で50兆円規模を超え、国内での知名度やブランドも確立されており代表的な保険会社といえます。

持ち株会社形態を取っており、傘下には同社グループの中核企業である第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命といった生命保険会社の他、アセットマネジメント会社が存在します。

同社は国内と海外で事業を展開しており、その事業は大きく生命保険販売とアセットマネジメント事業に分類されます。生命保険販売が収入の柱であり、保険料収入が同社の収益の大半を占めます。

保険業界を取り巻く環境

国内の保険業界の事業環境は決して明るくありません。少子高齢化により保険の対象となりうる人口そのものが減少して保険市場は徐々に縮小していく可能性が高いと思われます。

保険自体のトレンドも変化し、必要性が見直されています。終身保険は現在の金融環境では貯蓄としての魅力は低くなっていたり、医療保険は政府による各種保障制度が充実する中で本当に必要なのか?といった疑問の声も多数上がっています。

そのような中、大手保険会社を中心に、新たな保険商品の開発や新たな付加価値の提供を検討し成長戦略を描こうとしています。またネット生保やInsurtechという脅威への備えとして、顧客ニーズを起点での提案・コンサルティングや顧客接点・チャネル強化に乗り出しているのが現状です。

新たな保険商品の開発

これまでに無いタイプの商品で、ターゲット層を拡大しつつ新たなニーズを捉えようとしています。例えば、50歳から加入できる中高年層向けの保険、認知症保障、健康体割引・健康増進を促進する保険、女性特有の疾病に備える特約などがあります。

新たな付加価値の提供

従来の将来の不安やリスクに備える、といった保険会社の価値提供のみならず、病気になる前の予防・検査や健康増進のサポートといった、顧客のQOL(クオリティオブライフ、生活の質)を向上させることを新たな価値として位置付けています。

具体的には、保険契約の付帯サービス(医師のセカンドオピニオンサービス、介護・医療のお悩み相談、健康診断や人間ドックといった各種検査優待など)を充実させていたり、地方自治体や大学を始めとする医療研究機関との提携を進め、一例ですが自治体とタイアップして中高年向けの生活習慣病のセミナーを開催する、といった取り組みを開始しています。

顧客ニーズ起点での提案

これまでの押し売りや保険会社の都合による販売をあらため、顧客ニーズにもとづく最適な保険をおすすめする、という意識がより強まっています。年齢性別だけではなく各顧客のライフステージや家族構成、世帯収入、健康状態に応じたコンサルティング型の提案をおこなうのが当たり前になりつつあります。

顧客接点・チャネル強化

いわゆる生保レディに代表される保険営業員ベースの販売は依然として有効ですが、加えてネットや保険ショップ、銀行での代理販売が伸びています。従って各保険会社は顧客接点・チャネルを多様化するため、買収・提携を積極的に行っているのが現状です。

第一ホールディングスの事業概況と成長戦略

決して成長性が高いとは言えない大手保険会社を取り巻く事業環境の中で、同社の事業概況はどういった状況で、どのような成長戦略を描いているのでしょうか。

直近の業績推移と事業概況

直近の業績は横這い~微減といった状況です。既存の契約者による保険料収入は安定的にある一方で、保険市場自体の縮小や、ネット生保の登場といった競合要因により横這い~微減の状況が続いているというのが現状です。

主な事業の取り組みは以下です 。

国内3ブランド体制は商品・サービスの相互活用を拡大する新たな次元へ

生涯設計デザイナーのコンサルティング力を強化、代理店の積極拡大によるマルチチャネル化も加速

QOL向上を訴求する商品戦略を展開、加えてお客さま・社会のニーズの変化を先取りするパートナーシップを拡大


国内3ブランド体制とは、同社の主要保険会社である第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命をさします。グループ間で各社が保有する商品を相互間で販売することで顧客へのコンサルティング提案を強化している、とのことです。

正直に申し上げて、競合である大手保険各社と比較して、それほど差別化された要素や競合優位性があるようには感じません。逆に競合に対して遅れを取る、といったものも無いような気がします。

【参照先】第一生命ホールディングス2017年度決算説明資料

成長戦略

今後の成長戦略について、同社は以下のような方針を打ち出しています。

2020年に向けた中期経営計画の中で、顧客、地域社会、ビジネスパートナー、グループ各社の4つのCONNECTを強化することで、QOL向上へ貢献する、ということを謳っています。

それによる財務的な成果は以下のように見通しを立てています。

利益ベースで2020年までに年平均で5-7%の成長を実現する計画になっています。こちらも正直に申し上げると、外部環境・成長戦略や同社の市場における優位性・直近の業績を踏まえて、実現するかどうかは不透明かもしれません。

【参照先】第一生命ホールディングス2017年度決算説明資料

株価や財務指標推移・株主還元の動向

今後の株価予測を見通す上で、足元の株価や重要な財務指標はどのような動きをしているのかチェックしたいと思います。あわせて株価に大きな影響を与える同社の株主還元性向と併せてみて行きたいと思います。

足元では、株価が下落していますが、これは当社の要因では無く、株式相場全体が下落している影響ですので特段の問題はありません。むしろそれにより配当利回りは3%を超える水準にあり、配当利回りは魅力的な水準になってきています。

またPERは5.3倍、PBR0.5倍はとだいぶ割安感が出てきています。5年前からの推移は現在の+10%~70%ほどに落ち着いており、今の株価であれば購入しても良いくらいの水準に来ていると思います。

株主還元の方針はどうでしょうか。

年々、株主への還元性向は高まっており、2018年3月時点で40%まで至っています。また2019年には増配を予定しており、株主還元を強化する方針はしばらくの間維持される可能性が高いと言えるでしょう。

【参照先】第一生命ホールディングス2017年度決算説明資料

まとめ:配当利回りや割安感は魅力だが積極的な買い材料には乏しい

第一ホールディングスについて今後の株価の見通しを占うべく、分析を実施しました。まとめとしては、株主への積極還元の姿勢や足元の株価下落を踏まえ、配当利回りや割安感を見ると株価は以前の高値付近に戻る可能性はあり、一定程度の魅力はあると思います。

一方で、保険業界そのものの将来性や、同社の直近の業績や戦略から判断する成長性についてはやや低めの評価を付けざるをえません。ただ

配当利回りや割安感で言えば、現在の市況ではより高い利回り、割安感がある魅力的な銘柄も多数存在するため、第一ホールディングスの株を積極的に買う材料には乏しいかも知れません。

以下の記事では、第一生命ホールディングスのような大型株についてスクリーニングによるおすすめ株を掲載しています。もしご興味が有ればあわせてご覧下さい。