この記事では、高配当株のキャノンについて分析しています。

キャノンは株価に割安感が出ており配当利回りが5%前後と高水準になっています。事業は貿易摩擦などの影響で減収ですが黒字は確保しており、大企業ならではの安定感があります。

また株価は長期的に見た際の底値付近で推移しており、その観点から今が仕込み時と言えます。ただし、事業の状況を見ても業績が急に反転し株価が急騰する、といったことは期待できなさそうです。

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従って、高い配当利回りを享受しつつ中長期に亘って株を保有し、気長に株価の上昇を待つ戦略が良いでしょう

詳細は以下をご覧ください。

※投資は自己責任でお願いします

高配当株の分析:キャノンの株価推移

キャノンの株価推移

まず株価の動きです。

直近のキャノンの株価は、長期的に見たときの下値付近で推移しています。下値から反転した格好でチャートを描いていて、テクニカル的には今が仕込み時に見えますが、実際はどうなんでしょうか?

キャノンの事業概要や株価上昇の要因、想定リスクを見ていきます。

キャノンの事業概要

超有名企業ですので詳細の説明は省略しますが、カメラ・事務機器の最大手です。また半導体・液晶露光装置、監視カメラ等の事業を展開しています。

主力である複合機事業の業績は順調です。しかしながらカメラは新製品投入前の買い控えが響き台数減が加速しています。結果として2018年12月期の決算は、予想進捗率にわずかに届かない結果となりました。

2019年12月期の業績は、後述しますが減収減益を見込んでいます。医療分野では新製品効果、主力の服後記では新製品投入で横這いを堅持する計画です。

一方で、カメラは一眼レフ市場の縮小で販売数量が減少傾向にあります。半導体露光装置も販売計画に遅れが生じています。

そうした経営環境下において、医療・ネットワークカメラ、有機EL蒸着装置といった今後成長が期待される領域へ経営資源を投入し、業績の反転を狙っています。

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今期は減収減益見込みながら事業基盤は安定していて黒字は確保しています。しかし将来的な成長のためには有望領域での競争力確保が鍵になりそうです

【外部リンク】キャノン Webサイト

キャノンの株価が上昇する要因

キャノンの事業概要について簡単に解説してきましたが、ここからキャノンの株価上昇をもたらす要因について説明します。

株価上昇の要因①:高配当株としての魅力

配当利回りは5.07%とかなり水準にあります

日本国内の上場企業の配当利回り平均がおよそ2%ですから、非常に高い水準にあるといえます。これは現状、株価が長期的に見た底値付近で推移していることが要因です。

株価が低位にあるのは、世界経済の減速懸念や米国の政治模様を中心としたマクロ環境的な要因と、テクニカル的な要因である可能性が高いです。

特に不祥事が起きているわけでもなく、減収減益ではありますが事業を揺るがすほどの大きな懸念はなさそうです。従って、タイミングとして底値付近で推移している今は仕込み時と言えるでしょう。

株価上昇の要因②:業績は一定程度、安定的

国内有数の企業として、安定的な業績を誇ります。直近5年で、最終利益1000億円を割り込んだことはありません。

国内外のマクロ経済環境が今以上に大きく変われば別ですが、同社固有の事情で大きく株価が下落するような事態は想定しにくいでしょう。

株価上昇の要因③:財務は健全な水準

PER13.82倍、PBRは1.23倍と、それほど割安感はありません。

ただ、キャノン自体に事業を揺るがすほどの不安要素は無いため、これ以上下がりにくいとも言えます。前述の通り、株価は底値付近から反転したチャートを形成しています。

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自己資本比率は57.7%、流動比率は199.11%と健全な水準で、大きな懸念は無さそうです

今後の株価に影響を与える想定リスク

株価上昇の要因を考える一方で、株購入の検討にあたっては株価に悪影響を与えるリスクについても検討しておいた方が良いでしょう。

米中貿易摩擦の悪影響

後にも出てきますが、米中貿易摩擦の影響がもっとも懸念されるリスクです。

米中貿易摩擦によって米・中・日および全世界的に経済が低迷すれば、キャノンのカメラ・複合機・半導体など事業全般に悪影響を与えます。

景気の冷え込みによって消費が落ち込めば、デジタルカメラやスマートフォンは買い控えがされるでしょう。

また同様に景気悪化によって企業業績が下がれば、複合機や半導体などへの投資は減少します。米中貿易摩擦は、キャノンの力ではどうにもならないマクロ環境的な要因であり、協議の動向には注視が必要です。

以下の記事では、米中貿易摩擦について分かりやすく解説しています。

【内部リンク】
【米中貿易摩擦まとめ】分かりやすく解説。今後の株式市場への影響は?

キャノンの今後の株価を占う最新の動向

想定リスクについても見てきましたが、業績などキャノンを巡る最新の動向はどうなっているのでしょうか。以下で解説していきます。

直近決算の概要

2019年7月24日に2019年12月期の中間決算が発表されました。米中貿易摩擦などの影響を受け、業績を下方修正しています。

業績の進捗率は40.5%で計画対比で業績進捗は若干遅れている状況です。

キヤノンは24日、2019年12月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比37%減の1600億円にとどまりそうだと発表した。

従来予想していた21%減の2000億円を400億円下回る。米中の貿易摩擦の長期化や中国や欧州の景気減速により顧客が設備投資を延期する影響で、半導体製造装置などの産業機器事業の販売が低迷する。円高・ユーロ安も利益を圧迫する。

売上高は5%減の3兆7450億円、営業利益は37%減の2150億円を見込む。従来予想はそれぞれ3%減の3兆8500億円、20%減の2740億円だった。

医療機器事業で画像診断装置などが健闘するものの、スマートフォン市場の減速で半導体露光装置や、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)蒸着装置などの販売が低迷する。デジタルカメラの市場縮小の影響もあり減益幅が拡大する。

出典:日本経済新聞記事

この決算内容は織り込み済だったのか、株価への影響は限定的でした。

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米中貿易摩擦は、世界全体の経済に影響を及ぼしており、一筋縄ではいかない問題です。キャノンと言えど経営の効率性を改革によって高めていくことが収益力や株価の向上のポイントでしょう

キャノン株価に対するアナリストの予想

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出典:みんなの株式

ご参考として、証券アナリストのスタンスを紹介します。キャノンの証券アナリストによる予想は中立~買いが多くなっているようです。アナリスト17人中、14名が中立以上になっています。

  • 強気買い:3人
  • 買い:2人
  • 中立:9人
  • 売り:2人
  • 強気売り:1人

まとめ:キャノンは高い利回りを誇り魅力的で今が仕込み時!

キャノンは高配当株として利回り水準高く、また株価は底値から反転したチャートかたちとなっており、おすすめ度は高いです。

確立されたブランドと事業基盤を背景に、業績は減収基調にはあるものの安定して推移していく見込みです。

ただ業績反転による株価急上昇を狙うよりも高配当株でもあることから、短期ではなく、長期的な保有を前提に考えて投資したほうが良さそうです

以下では、キャノン以外にも高配当株をランキング形式で紹介しています。ぜひご覧ください!

【内部リンク】
高配当株のおすすめランキングベスト11 – “超”厳選銘柄