こちらの記事では、大手証券会社の持ち株会社「野村證券ホールディングス」について分析しています。

証券会社は、国内の証券リテール業務や世界的な市況の停滞が続き、決算もあまり振るわない状況が続いています。

その中で、前期赤字を計上してしまった野村證券ホールディングスは、直近の決算で業績一気に黒字化しており株価は今後上昇していく可能性があります。

ただ一方で、米中貿易摩擦や市況の悪化に伴う業績悪化株価下落リスクは無視できません。以下で詳細に解説していますので、宜しければご参照下さいますと幸いです。

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分析にあたって、かつて銀行員として培った、デューデリジェンスの手法を活用しています

※投資は自己責任でお願い致します

野村ホールディングスの事業概要

野村ホールディングスはご存知の方も多いとは思いますが、国内で最大手の証券会社である野村證券を傘下にもつ金融関連銘柄です。

リテール証券事業を中心に、国内では圧倒的な顧客基盤を持ちます。「野村の営業マン」と言えば、積極的な営業姿勢と高いスキルで有名ですね。

リテール事業が象徴的な野村ホールディングスですが、個人からは見えづらい金融業務を多数展開しています。以下が野村ホールディングスの部門一覧です。

  • 営業部門
  • アセット・マネジメント部門
  • ホールセール部門
  • マーチャントバンク部門
  • グローバル・リサーチ

業績推移はどうなっているかというと、前期はリーマンショック以来10年振りの赤字決算でした。

2018年度は株式市場が低迷し国内証券リテール事業が振るわなかった他、欧米におけるホールセールビジネスも不振に終わりました。またのれんの減損処理も加わり、▲1,004億円の最終赤字を計上しています。

【業績推移】

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出典:楽天証券

赤字決算を受け、野村ホールディングスは国内リテールおよび海外ホールセールを中心に事業リストラクチャリングを計画しています。国内店舗を2割削減するなど、抜本的な構造改革の断行を表明しています。

【ご参考】野村ホールディングス Webサイト

野村ホールディングスの株価を占う最新動向

直近決算は赤字からV字回復

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出典:野村證券ホールディングス

国内証券最大手の野村ホールディングスが31日発表した2019年4ー6月(第1四半期)連結決算によると、純利益は前年同期比11倍の558億円となった。前年同期に苦戦したトレーディング事業の利益が改善した。四半期ベースでは17年10-12月以来となる6四半期ぶりの増益となった。

同日会見した北村巧財務統括責任者(CFO)は「足を引っ張っていたビジネスがなくなったというのが大きい」と述べ、「構造改革への取り組みが成果として表れ出したという手ごたえを感じている」と決算内容を評価した。

出典:Bloomberg

前述の通り、2018年度は大幅な赤字決算でしたが、2019年度第1四半期は前期対比で利益が11倍となる好決算となり、早くもV字回復を印象付けています。

回復は構造改革により不調だった債券ビジネスの利益が改善し、コスト削減効果が発現したことが要因です。

債券ビジネスについて、前期はかなり足を引っ張っていましたが、事業を縮小したことにより収益性が改善した模様です。

また構造改革の一環として進めているコスト削減は22年度までの削減目標1400億円に対し既に5割ほどを実現したことが大きく貢献しています。

野村ホールディングスの株価が上昇する要因

前期赤字からのターンアラウンド

最新の動向で述べた通り、業績が大きく改善したことにより下落していた株価が持ち直す可能性があります。以下のグラフは、野村ホールディングスの直近の株価推移です。

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前期の決算が不振だったことから、直近1年間の株価は長らく下落傾向にありましたが、 2019年度第一四半期の決算発表後、株価が急上昇しました。

通期業績は増収黒字化を見込んでいますが、通期の利益計画850億円に対して第一四半期のみで556億円を達成しており、進捗率は既に65%に達しています。

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構造改革中であること、また証券会社の業績は市況に大きく左右される側面もあるため予断は許しませんが、業績上方修正も期待できる状況です

今後の株価に影響を与える想定リスク

株式を中心とした金融市況の悪化

前項で少し触れましたが、市況が悪化すると証券会社の業績は不振に陥る傾向があります。個人法人共に、証券リテール業務とトレーディング部門の収益が落ち込むことが原因です。

全社では好調だった2019年度第一四半期の決算も中身を良く紐解くと、個人向け証券業務を担当する営業部門の業績が落ち込んでいます。

現在の金融市況は、米中貿易摩擦による世界経済の成長率減退などを始めとした懸念材料により不安定な状態が続いています。

米中貿易摩擦については以下で影響なども含めて解説していますので、宜しければご参照ください。

【内部リンク】
【米中貿易摩擦まとめ】分かりやすく解説。今後の株式市場への影響は?

また米国市場を筆頭に株式相場は高値圏での推移が長らく続いており、いつ調整局面に入ってもおかしくないと市場では囁かれています。

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こうしたリスクは野村證券ホールディングスのような大手証券会社には常につきまとうものですが、業績が回復基調にあるなかでも常にモニタリングが必要でしょう

まとめ:野村ホールディングスは今後株価が上昇する可能性あり

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野村證券ホールディングスについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

前期の大幅赤字から業績がV字回復している野村證券ホールディングスの株価は今後上昇していく可能性があると見ています。

ただ一方で、米中貿易摩擦による株価下落リスクは無視できません。特に、証券会社は金融市況やマクロ環境の悪化に影響を強く受けるので、モニタリングが必要でしょう。

以下では、野村證券ホールディングスの他にも大型株について分析しています。ぜひ併せてご参照ください。

【内部リンク】
安定している優良大型株のおすすめ一覧!厳選8銘柄